この世に生を享けて、1か月と8日のあいだ過ごした病院から、 あまねくんが無事に退院しました。 NICUとGCUでほんとうに大切に見守られ、育てられて、 あまねくんはとても幸せな人生のスタートを切ることができたと思います。 (妻は、自分も家族も含めて、これまでに受けた中で最高の看護を受けた、と言っています。) あまねくんが生まれる前からお世話になった、病院のスタッフの皆さんに何度もありがとうございますと伝えたい思いです。 ほとんど毎日病院に通い、あまねくんの顔を見ていたとはいえ、 あまねくんがこれまで安心・安全に過ごしていたのはあくまでも病院で、 病院の外、 自分たち家族だけの場所へあまねくんを連れ出すことには不安がありました。 退院は嬉しいのです。 でも同時に不安で、 嬉しいのと不安なのとのモザイク状態のまま、 あまねくんに家から持ってきた水色の縞々模様の服を着せ、 3人で病院のエレベーターに乗って、 駐車場に降り立ちました。 何台もの車の陰で、アスファルトの地面の上に立って、 こそこそと、かつ大切に、あまねくんを自分たちの車のチャイルドシートに乗せ、 あまねくんの親というより、誘拐犯になったような気がするのでした。 そして、これからお姉ちゃんを保育園に迎えに行く、という車中で、 犯罪に手を染めてしまったかのような不思議な気持ちを抱えたまま、 いろいろなことを思うのでした。 あまねくんを連れ出すのは IKEAの家具を持ち帰るのとはわけが違いますし、 「誰かにとって特別だった君を マークはずす飛びこみで僕はサッと奪いさる」 小沢健二の「ドアをノックするのは誰だ?」の歌詞をふと思い出して、 「なんて軽薄な歌なんだ」と思い、 『ある子供』という映画のことを思い出して、 「ちがう、ちがう、あれは生まれたばかりの自分の子供を他人に売ってしまう映画だった」 と気づいては、別な映画のことを考えようとし、 妻と話しながら、運転を続け、 他のお母さんも「NICUやGCUから退院するときは、誘拐するみたいだった」とネットに書いていたと聞いて、 同じように思う人もいるんだと思い、 保育園で長女を迎えて、 はじめて(ガラス越しでなく)あまねくんに対面させ、 とにもかくにも家にたどり着いて、 妻があまねくんをベビー...
わが家の第二子、あまねは出生前診断でダウン症とわかりました。妊娠中からの、あまねやダウン症、家族のあり方について思ったこと、子育ての記録など、父親の立場から綴っていきたいと思います。